髙橋ノリユキカレンダー Water City

髙橋ノリユキPHOTOカレンダー Water City

企画・撮影 髙橋ノリユキ
15ヶ月カレンダー カードタイプ210×148mm
定価 1,500 円(消費税込)
デザイン dododo

これまで自然風景を中心に撮影してきた髙橋ノリユキさんが、はじめて新潟のまちの風景の撮影に取り組みました。「Water City」と名付けられたこのPHOTOシリーズは、海と川に囲まれたまち、新潟にふさわしいしっとりとした世界観に満ちています。このシリーズを、2019年1月から2020年3月までお使いいただける15カ月分のカードタイプのカレンダーにまとめました。


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見出された風景

「Water City」 髙橋ノリユキ

 2018年の春、田んぼの12カ月をおいかけた写真を「Rice is Beautiful」というポストカードセットにまとめた髙橋ノリユキさん。12枚の写真には、田んぼや稲に優しく語りかけるような髙橋さんの言葉が添えられている。
 髙橋さんが写真を撮るようになったのは26歳のときで、職場の先輩に誘われてカメラを手にしたのがはじまりだという。
 「一番最初に瓢湖(※1)の白鳥の撮影に連れて行ってもらったんですが、それがすごく面白かったんですよ。すっかりはまって、あちこち撮影に出かけるようになりました。実は、その1年後くらいに新潟市の観光キャンペーンで写真の公募がありまして、試しに作品を出してみたんです。そしたらなんと一等賞をいただいてしまって・・・そこからさらに調子にのりました(笑)」
 その作品は中里(旧十日町市)の冬のキャンドルフェスティバルを撮影したもので、新潟市の観光ポスターに採用されたという。このことがあってさらに写真にのめり込むようになった髙橋さんは、週末や早朝などの時間を利用して各地に足を運び、新潟の風土が伝わるような風景の撮影に力をいれていく。写真愛好家によるグループ展などにも積極的に参加してきた。
 「でもだんだん、撮ることに煮詰まってしまって。何を撮っていけばいいのだろうかとちょっと悩むようになり
ました。そのころ撮り始めたのが新発田市(※2)の農村の風景なんですが、季節ごとに変わる風景を撮るため足しげく通っているうちに、米をテーマに、田んぼの12カ月をまとめてはどうだろうという考えがふーっと頭に浮かんできたんです。それが『Rice is Beautiful』のはじまりでした」

 髙橋さんの自宅には、住まいに隣接するように畑地がある。農業を本業とするほどではないにしても、四季を通して野菜は自給できるレベルというから、かなりの規模だろう。会社勤めの傍ら、今はご両親とともに髙橋さんご夫婦も畑仕事に携わっている。
 作物をつくる人たちには、共通した目線があるように感じる。
 土も水も気候も、人の力でどうこうできるものではない。そのなかで作物を育てる「農」は、人間の限界をごく自然に受け入れていく行為でもある。米であれ、野菜であれ、作物を育て収穫する人たちと会話をしていると、ある種の畏敬や達観といった感覚がその内側にあるように感じられる。それは、人間の存在を自然の一部として当たり前に受け入れている目線があるからではないだろうか。
 野菜をつくる髙橋さんが田んぼによりそうように写真を撮り、「Rice is Beautiful」をまとめたのはごく自然なことだったように思う。

 その髙橋さんが、まちの風景を撮影した。
 「個展を開かせてもらった会場の方に、新潟のまちも撮ってみたらと、すすめられたのがきっかけです。いままで自然を中心に撮ってきた僕にとって、はじめてのチャレンジでした」
 撮影された写真は「Water City」と名付けられ、2019年1月から2020年3月までのカレンダーになった。雨にぬれた路面、曇り空の下のまち灯り、静かに満ちる信濃川と日本海・・・。晴天の空は一枚もない、タイトル通りウェットな新潟の風景だ。けれども新潟で暮らす人間にとって、とても新潟らしい風景でもある。
 「最初は、まちの写真が撮れるかどうかちょっと不安だったんです。それでまず、人がいない時間を選ぶということだけ決めて撮影を始めました。だけど撮り続けるうちに、まちの造形や空気感がだんだんとみえてきて、ああ、これは田んぼを撮っているときと同じだなと気がついたんです。自然の風景を撮るのと同じだ。そう感じてから、気負いがなくなりました」
 挑むのではなく、つかみ取るのでもなく、対象を受け入れるように写真を撮る。髙橋さんの撮影スタンスは、作物をつくる人たちの目線と通い合うものがあるように思う。その個性が、自然風景ではなくまちを撮影したときにひときわ明確になったのではないだろうか。
 「Water City」は当たり前の新潟のまちの風景だけれど、私たちの目にはみえない風景でもある。場所に入りそれを受け入れた高橋さんが見出した、異世界の新潟だ。暮らす人間の数だけまちは個性を持つ。一抹の野生を抱えたこの水辺のまちの風景を、15カ月かけてゆっくりと味わいたい。

※1 瓢湖(ひょうこ):「白鳥の渡来地」として国の天然記念物に指定されている湖で、11月下旬頃には5,000羽~6,000羽の白鳥が飛来する。桜の名所としても有名。新潟県阿賀野市水原313-1
※2 新発田市(しばたし):新潟市北区に隣接する城下町。

 

●高橋ノリユキさんの撮影メッセージです。写真と一緒にお楽しみください。

1月「kamifuru」


今回のタイトルテーマ「Water City」のきっかけになった一枚です。
夜明け前の商店街は、照明の灯りが雨に溶かれて、妖艶な空間になっていました。
夜から朝の、はざまの時間は、まるで「百鬼夜行」が過ぎた後のような異空間。
そんな非日常の街は、私にとって居心地がよい時間なのです。

2月「hiyoriyama」


昔は北前船の寄港で賑わった港町新潟。
高台の少ない街では、海岸付近の砂丘から港の風景を感じる事ができます。
現代の風景から、歴史の片鱗を紐解くのは、とても素敵なことでした。

3月「hakusan」


街に洋館があるのは、文化的な融合として洗練されている事だと思います。
開港150年の歴史の遺構という意味だけではなく、
人々の好奇心を揺さぶるその新鮮な存在感は、今も昔も同じように感じます。

4月「ijinike」


普段の撮影は、あまり狙いを定めてというよりは、偶然の発見を求めるほう。
ただ、この坂の桜は、タイミングと時間・天気を考えました。
街にある桜は、野にある桜よりも艶やかに感じます…照明のせいもあるけど…。

5月「ryuto」


信濃川最後の橋、「柳都大橋」。人工物の中では、「橋」は好きな建造物のひとつで、
その架橋の下は、秘密基地的な楽しさを感じます。
そして、この橋の下は、何か体内の骨格の造形にも思えました。

6月「bandai bridge」


新潟のシンボル「萬代橋」。新潟の街は川とそこに架かる橋の文化の街です。
石積の橋はどこか西洋的で、異国情緒を感じずにはいられません。
橋が持つ役割は、離れた両岸を繋ぐという事。
歴史以上に、この橋からもっと学ぶことが出来るかもしれません。

7月「hiyorihama」


新潟の街は、海を見る為に丘というか砂丘を越えなければいけない。
少し暗い松林を抜けて、その向こうの海を見に行くのは、
ユージン・スミスの「楽園への歩み」を思い出します。

8月「konpira」


新潟は意外と寺社の多い街。それゆえ、時節に灯籠が灯ると、
不思議な赴きのある街になります。
夏の夜歩きは、異界へ忍び込むのに、うってつけです。

9月「dopperi」


言わずと知れた「どっぺり坂」。
今は若者たちが陶然とする姿こそ見ないが、街を見下ろす場所というのは、
いつの時代も「志」を持たせるものだと思います。

10月「port」


港を表す五感と言えば…波が埠頭で跳ねる音。少し霞んだ青い景色。
鴎に乗る潮の香りに、冷たい風が頬を掠める感触。
そして、温かい食べ物に期待する。
昔あった埠頭の中華ラーメン屋さんが懐かしいです。

11月「nisibori」


街を歩く楽しみに、ショーウィンドウがあります。
閉店後にその窓の前を通ると、ガラスに映る自分の姿と、
お店の中の不思議な空間に浸れます。
出来ればお店の前はシャッターじゃないほうが、街は素敵に見えると思います。

12月「river」


水の様子には、海の繰り返す波…静かに湖面の淀んだ姿…
後は滔々と流れる川の姿があります。
信濃川の左岸で佇むと、150年前から変わらない流れに、
次の100年への思いを馳せる事が出来ました。

2020年1月「niigata sky」


何気なく通りかかったマンションの駐車場。撮りたかったのは、街並みよりも新潟の空です。
グレーの雲が光の拡散(ディフューザー)の役割になって、街にやさしく光を回している。
新潟は、立体的ではないが、影の少ない街だと思います。

2月「water city」


新潟は、時期になると雨が多い街。
必然的に水溜まりが多く、その中にもうひとつの街が現れます。
逆さまになった建物や街灯、水溜まりの中からこちらを見たら、
どんな世界に見えるのでしょうか。探し歩くと楽しくなります。

3月「MITUKOSHI」


閉店のニュースは、このカレンダーの制作中に聞きました。急遽、台風接近の夜に撮影。
今までこんなに堂々と感じたことはない、三越の姿が撮れました。
でも、カレンダーの一枚一枚がカウントダウンになっていくのは、やはり寂しい…。
只、その現実の中でも、時代に合わせて街は変貌していくでしょう。

●髙橋ノリユキ

1969年生まれ。新潟県新潟市在住。1995年よりアマチュア写真家として活動。
近年は身近な被写体を意識し、撮影を続ける。ライフワークは何気ないものに視点を向けること。
2012年 7月 画廊「新潟絵屋」個展開催
2015年 7月 岩室温泉内の灯りの食邸KOKAJIYA
      2F「室礼」にて、「宵」個展開催
2015年11月 日和山五合目2Fギャラリーにて
      「宵」vol.2個展開催
2016年 6月 日和山五合目2Fギャラリーにて
      「小さな琴音たち」drip & drops個展開催
2017年 6月 日和山五合目2Fギャラリーにて
      「mother」個展開催

新潟絵屋以外のお取り扱い店
新潟市美術館ミュージアムショップ ルルル
新潟市中央区西大畑町5191-9
営業時間 9:30-18:00/月曜・展示替え期間休
砂丘館
新潟市中央区西大畑町5218-1
TEL.025-222-2676
営業時間 9:00〜21:00/月曜定休(祝日の場合翌日)
新潟県政記念館
新潟市中央区一番堀通3-3
TEL.025-228-3607
営業時間 9:00〜16:30/月曜定休(祝日の場合翌日)
ノ縞屋
新潟市中央区上大川前通4番町119 ハチスオフィス
TEL.09066881939
営業時間 9:00〜16:30/月曜定休(祝日の場合翌日)
北書店
新潟市中央区医学町通2-10-1 ダイアパレス医学町101
TEL.025-201-7466
営業時間 10:00〜20:00 ※土曜日曜祝日は12:00〜20:00
BOOKS f3
新潟市中央区沼垂東2-1-17 TEL.025-288-5375
営業時間13:00〜20:00/火曜・水曜定休、ほか臨時休業あり
ギャラリーみつけ
見附市昭和町2-4-1 TEL.0258-84-7755
営業時間 10:00〜22:00/月曜定休
※月曜日が祝日・振替休日にあたる場合は翌平日が休

髙橋ノリユキカレンダー Water City 通信販売ご案内

通信販売の方法 
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2.
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※店頭での受取も可能です。その場合は、お取り置きさせていただきますので、ご注文の際にお申し付けくださいませ。
3. 
同封する郵便局払込用紙にて、送料と代金のお振り込みをお願いいたします。

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ピクチャースタンド

カレンダーを飾る際にお役立ていただける、木製のシンプルなスタンドです。
卓上置き型・はがき横サイズ(400円)がカレンダーの横寸法と同一です。
それより幅広のA4サイズは、カレンダーを2ヶ月分並べて飾ることができ、卓上置き型のほか壁掛け型もございます。

Water City

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Noriyuki Takahashi「Rice is Beautiful」

「お米は美味しく、そして美しい」日常の何気ない風景を撮り続ける髙橋ノリユキさん。お米の故郷である田んぼを1年追いかけた12枚の写真が、ポストカードになりました。
ポストカード12枚・12ヶ月メッセージペーパー付・封筒入 
1,300円(税込)
企画・撮影・テキスト:髙橋ノリユキ/デザイン:dododo

rice is beautiful

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